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技術士の技事録

新米技術士が、IT技術動向・高度資格試験対策等、現役SE向け情報を発信します。

SA H23秋 午後Ⅱ 問1

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複数のシステムにまたがったシステム構造の見直しについて

 近年,情報システムへの要求は,事業統合に伴う業務システムの統合や,事業を横断した顧客動向の把握など,複数のシステムに関連するものが増える傾向にある。それらの要求に対応するとき,機能やデータの配置などのシステム構造を全体最適の観点から対象となる全システムにまたがって見直し,機能追加の容易性の確保や変更時の影響範囲を狭めることも重要である。
 このような複数のシステムにまたがったシステム構造の見直しにおいて,システムアーキテクトは,例えば,次のような視点から業務とシステムを分析する。

  • 新たな商品やサービスに対応する際の変更箇所や変更方法の傾向
  • システムによる機能の配置の違い
  • データの配置や流れ

 分析の結果に基づき,複数の類似した機能及びデータを共通化するために,コンポーネントの分割・統合を実施したり,マスタファイルを各システムから分離・統合したりすることなどを検討し,システム構造を見直す。多くの場合,考えられるシステム構造は複数あり,それぞれにメリットやデメリットがあるので,そのメリットを生かすとともにデメリットの軽減方法を検討した上で,新しいシステム構造を選定する。
 例えば,システム間の接続が複雑化してしまう場合には,複雑化を解消するために,連携基盤を採用して各システムをハブ型に接続する。統合しようとするマスタファイルのコード体系が異なる場合には,互いのデータを関連付けるために,新たなコード体系を定義して新旧のコードの相互変換を可能にする。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア

 あなたが携わった複数のシステムにまたがったシステム構造の見直しについて。見直しの背景と概要,対象になった複数のシステムの概要を800字以内で述べよ。

設問イ

 設問アで述べたシステム構造の見直しにおいて,業務とシステムをどのような視点から分析し,どのような新しいシステム構造を選定したか。メリットなどの選定理由とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ

 設問イで述べた新しいシステム構造には,どのようなデメリットがあり,どのような軽減方法を検討したか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 近年の情報システムへの要求は,単一のシステムではなく複数のシステムに関連するものが増えている。その際,複数のシステムにまたがってシステム構造を見直す場合がある。このような場合,システムアーキテクトは,業務とシステムの現状を分析した上で,機能追加の容易性や変更時の影響範囲などを考慮して,全体最適の観点からシステム構造の見直しをしなければならない。
 本問は,業務とシステムの現状をどのような視点から分析し,どのようなシステム構造を選定したか,メリットなどの選定理由,デメリットとその軽減策を具体的に論述することを求めている。論述を通じて,業務分析力及び全体最適の観点からシステム構造を設計する能力を評価する。

採点講評

 全問に共通して,具体性があり,経験に基づいていることをうかがわせる論述が多かった。一方で,答案用紙の冒頭で記入を求めている“論述の対象とする計画又はシステムの概要”,“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が未記入又は記入漏れの項目があるなど適切に記述されていないので,評価を下げた論述が相当数あった。問題文の引用で文字数を費やし内容が薄い論述や,問題文に例示した項目と一般論の組合せから成る具体性に欠ける論述,設問で問うている内容に対応しない論述も散見された。このような論述では,受験者の能力や経験を正しく評価できない場合があるので,実際の経験に基づき設問に沿って具体的に論述してほしい。
 また,論述は第三者に読ませるものであることを意識してほしい。例えば,業界特有の用語や略語には説明をつける,段落を分けたり見出しを入れたりすることで何について述べているのかを明確にするなど,自分の考えを第三者に的確に伝えるための工夫をしてほしい。
 問1(複数のシステムにまたがったシステム構造の見直しについて)では,具体性のある論述が多く,実際の経験から論述していることがうかがわれた。システムアーキテクトは,業務を理解してシステムの構造を設計する役割をもつので,業務とシステムの両面からの論述を期待したが,そのような論述は少なかった。設問では,業務とシステムをどのような視点から分析し,どのようなシステム構造を選択したかについての論述を求めたが,業務の視点からの分析を論述していないものや,システム構造ではなく連携方式だけを論述しているものが多く見られた。また,選択したシステム構造のデメリットとその軽減方法の論述を求めたが,システム構造のデメリットではなくシステム統合などの背景そのもののデメリットを論述しているものが散見された。