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SA H25秋 午後Ⅱ 問3

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組込みシステムの開発における信頼性設計について

 組込みシステムのシステムアーキテクトは,組込みシステムの使用環境条件,信頼性,安全性などの品質要件を分析し,機能仕様を決定する。このとき,品質要件として,高い信頼性,安全性が求められることがある。例えば,24時間365日にわたって常時稼働すること,誤動作によって人の生命,財産に危害が及ばないことなどである。 これらの品質要件を,所要期間にわたって維持するためには,ハードウェアとソフトウェアの両面から信頼性設計を行うことが重要である。 組込みシステムの開発における信頼性設計の考え方として,フォールトトレランスがある。この考え方は,システムが故障することを前提に,たとえ故障したとしてもシステム全体の機能を維持するというものであり,次のような設計手法がある。

  • フェールセーフ:システムが故障したときに,システムをより安全な状態に移行させる。例えば,交通システムで故障を検出したとき,停止信号を送出して安全を確保する。
  • フェールソフト:システムが故障したときに,システムから故障部分を切り離すなどして,影響を最小限にとどめ,処理を継続させる。例えば,CPUの排熱ファンが故障したとき,CPUの性能を下げて熱の発生を抑える。

 その他に,使用者が操作や手順を間違えても,危険を回避するという考え方に基づいた設計手法(フールプルーフ)がある。例えば,電子レンジでは,扉を閉めないと加熱できないようにするなどである。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア

 あなたが開発に携わった組込みシステムについて,その性能,機能などの概要と,信頼性設計の対象となった品質要件を,800字以内で述べよ。

設問イ

 設問アで述べた組込みシステムの開発で使用した信頼性設計の設計手法・内容について,開発スケジュール,コスト設計などとの関係を含めて,ハードウェアとソフトウェアの両面から,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ

 設問イで述べた信頼性設計によって,品質要件をどの程度満たすことができたか。定量的評価を含めた考察と,副次的に発生した利点について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 組込みシステム開発においては,高い信頼性要件が求められる場合がある。システムアーキテクトには,求められる信頼性要件を満たすために,信頼性設計に対する知見と実施能力が求められている。
 本問は,組込みシステム開発で実施した信頼性設計について,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,システムアーキテクトに必要な信頼性設計に対する基本的な理解,及び信頼性設計の実施能力を評価する。

採点講評

 問3(組込みシステムの開発における信頼性設計について)では,おおむね組込みシステムの開発経験を具体的に論述できていた。しかし,その内容は,信頼性設計に対する十分な知見をうかがわせる論述がある一方,明らかな知識不足と思われるものもあり,二極化していた。また,各設問において,複数の項目について論述を求めていたにもかかわらず,その一部の項目に対してしか論述していないものが散見された。評価についての考察については,多くは具体的,定量的に論述されていた。それに加え,複数の視点から論述されているものなどもあり,高く評価できるものが多かった。