技術士の技事録

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SA H27秋 午後Ⅱ 問1

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システム方式設計について

 システムアーキテクトは,情報システムの開発で,ハードウェア,ソフトウェア及び人手による作業をどのように組み合わせてシステム要件を実現するのかを総合的に検討し,システム方式を設計する。総合的な検討の視点としては,業務プロセスへの効果,実現可能性などがある。業務プロセスへの効果としては,情報システムの稼働後の業務の処理時間短縮,品質向上,運用コスト削減などがある。実現可能性の判断のためには,適用技術,開発コスト,開発期間,セキュリティリスク,運用性,保守性などを考慮する。
 このようなシステム方式設計には,例えば次のようなものがある。

  • 業務の品質向上という要件を実現するために,業務上のミスが他の業務に大きな影響を与えるような重要な作業は,全てソフトウェア開発の対象に含めた。
  • 低コストでの業務の効率化という要件を実現するために,実施頻度が高い作業をソフトウェア開発の対象にし,開発すると費用が掛かるが手作業で実施しても業務運用上大きな問題にならない作業は,人手で実施することにした。
  • 開発期間を短くするために,外部との通信などの共通機能には,ソフトウェアパッケージを活用した。

 また,システム方式設計の結果は,利用者に説明しなければならない。そのため,情報システム稼働後の業務の全体像を示して業務部門の役割分担を明確にしたり,業務担当者の利用するシステム機能を業務フローに明示して情報システムの利用局面を示したりするなど,利用者の理解度を高める工夫をすることも必要である。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア

 あなたがシステム方式設計に携わった,対象の業務と情報システムの概要を,それぞれの特徴を含めて,800字以内で述べよ。

設問イ

 設問アで述べた情報システムで,どのようなシステム要件を実現するために,どのようなシステム方式を設計したか。業務プロセスへの効果,実現可能性などの決定理由を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ

 設問イで述べたシステム方式設計の結果を説明する際に実施した,利用者の理解度を高める工夫を,実例を含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 システム方式設計は,システム開発におけるシステムアーキテクトの重要な役割の一つである。システム方式設計では,業務プロセスへの効果と実現可能性などを総合的に検討しなければならない。また,システム方式設計の結果を利用者に説明し,理解してもらうことが必要であり,そのための工夫をすることも重要である。
 本問は,システム方式設計について,設計結果とその決定理由,利用者の理解度を高めるための工夫を具体的に論述することを求めている。論述を通じて,システムアーキテクトに必要なシステム方式設計の能力と経験などを評価する。

採点講評

 全問に共通して,設問に素直に答えている論述が多かった。また,問題文の引用で文字数を費やし,内容が薄くなってしまっている論述も少なかった。一方で,問題文に記載してある観点などを抜き出し,一般論と組み合わせただけの論述は引き続き散見された。問題文に記載した観点や事例は,例示である。自らが実際にシステムアーキテクトとして,検討し取り組んだことを具体的に論述してほしい。
 問1(システム方式設計について)では,システム要件をハードウェア,ソフトウェア及び人手による作業をどのように組み合わせて実現したかというシステム方式の設計結果を具体的に論述することを期待した。システム要件をどのように実現したかについては多くの受験者が論述していた。しかし,システム方式の設計そのものではなく,既に設計されたシステム方式を前提としたソフトウェア方式やソフトウェアの機能設計に関する論述が散見された。システムアーキテクトには,業務を情報システムの視点から整理する役割が求められることを認識してほしい。