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技術士の技事録

新米技術士が、IT技術動向・高度資格試験対策等、現役SE向け情報を発信します。

SM H21秋 午後Ⅱ 問3

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事前予防的な問題管理について

 ITサービスマネージャには,提供サービスに潜在する問題の発見と対策を行う事前予防的な問題管理が求められる。そのためには,インシデント,危うく障害となるところだった“ヒヤリハット",顧客の意見などを時系列や発生要因などによって分析し,判明した発生の傾向や頻度に対して仮説検証などによる考察を深める必要がある。
 例えば,時系列分析によって,CPU使用率のしきい値超えのインシデントが増えたことが判明した場合は,なぜ増えたのかについて,次のような仮説を立てて検証する。

  • トランザクションの変化はないか,特定のトランザクションが増えていないか。
  • プログラムの変更はなかったか,そのプログラムがCPUを占有していないか。

 検証の結果,後者の仮説が正しい場合は,CPUを占有するプログラムの変更をなぜチェックできなかったのかについて,更に仮説を立てて検証する。
 また,発生要因分析によって,LANケーブル誤切断のインシデントが多いことが判明した場合は,なぜ誤切断したのかについて,次のような仮説を立てて検証する。

  • 作業環境に問題はないか,LANケーブルが乱雑に放置されていないか。
  • マ二ュアルに問題はないか,記述のあいまいなところや間違いはないか。

 このように,仮説と検証を繰り返すことによって考察を深め,提供サービスに潜在する問題を発見する。発見した問題に対しては,適切な対策を実施する必要がある。
 なお,事前予防的な問題管理を定着させるためには,インシデントの件数が基準値を超えた場合に分析を義務付けることや,実施した分析や対策の発表の場を設けて,優れた分析や対策を行った者を表彰するなどの取組も有効である。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア

 あなたが携わったITサービスの概要と,分析して判明したインシデントなどの発生の傾向や頻度について,800字以内で述べよ。

設問イ

 設問アで述べたインシデントなどの発生の傾向や頻度に対し,どのように考察を深め,潜在する問題を発見したか。また,発見した問題を解決するためにどのような対策を実施したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ

 事前予防的な問題管理を定着させるためにどのような取組を行ったか。今後改善すべき点とともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 安定した品質の高いITサービスを提供するためには,潜在する問題を事前に発見し,予防的に対策を行うことが重要である。
 本問は,インシデントなどを分析することでどのような発生傾向や頻度が判明したか,それらに対してどのような考察によって潜在する問題を発見しどのような対策を実施したか,また事前予防的な活動を定着させるためにどのような取組を行ったかについて,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITサービスマネージャに必要な,問題分析能力,対策立案能力,対策遂行能力などを評価する。

採点講評

 問3(事前予防的な問題管理について)では,発生したインシデントなどの根本原因を事前予防的に発見し,対策を行う活動について論述することを求めた。本問は選択率が高く,障害に関連するテーマへの関心の高さがうかがわれた。論述内容はインシデントを分析することによる直接的な原因の発見にとどまるものがほとんどであり,深く考察することによる根本原因の究明に及ぶものは少なかった。また,定着化のための取組では問題文からの引用程度のものが多く,組織に定着していることをうかがわせる深い論述はほとんどなかった。ITサービスマネージャとして,日ごろから発生した問題について深く考察する習慣や,継続的な品質向上に主導的に取り組んだ経験などがないと,本問の論述は難しかったようである。