読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

技術士の技事録

新米技術士が、IT技術動向・高度資格試験対策等、現役SE向け情報を発信します。

SM H26秋 午後Ⅱ 問1

◀️ 前へ解答例へ次へ ▶️

ITサービスの移行について

 ITサービスの安全かつ円滑な開始に向け,顧客やIT部門の関係者と連携してITサービスの移行を確実に実施するための計画(以下,移行実施計画という)を策定することは,ITサービスマネージャの重要な業務である。
 移行実施計画では,①ITサービスの受入基準に従って移行の対象となるITサービスを検証する方法と,②移行手順及び移行体制を整え稼働環境に展開する方法,などを計画する。その際に,対象となるITサービスの特徴や各種制約など移行の実施において考慮すべき点とその対応策を明確にすることが重要である。
 具体的には,まず,①については,リリースの内容,運用手順,運用体制,キャパシティなどの検証において考慮すべき点を,②については,稼働環境に展開する上で,時間,環境,体制の制約など考慮すべき点を洗い出す。次に,考慮すべき点について,関係者と十分に協議し,対応策を決定する。また,対応策が確実に実施されるよう工夫することも重要である。
 移行の実施後は,移行実施計画に沿って実施した結果についてレビューを行い,その結果を例えば組織のナレッジとして蓄積し,共有するなど,活用することも重要である。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア

 移行の対象としてあなたが携わったITサービスの概要と,移行実施計画の策定に当たって洗い出した考慮すべき点のうち,特に重要と考えたものについて,800字以内で述べよ。

設問イ

 設問アで述べた考慮すべき点について関係者と協議し,決定した対応策,決定した理由,及び対応策が確実に実施されるための工夫について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ

 設問アで述べたITサービスの移行実施後のレビュー結果とその活用について600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 ITサービスの安全かつ円滑な開始に向け,ITサービスの移行実施計画を策定することは,ITサービスマネジャの重要な業務である。
 本問は,移行実施計画策定の際に洗い出した考慮すべき点のうち特に重要と考えたものと,それに基づいて関係者と協議し決定した対応策,決定した理由,及び対応策が確実に実施されるための工夫について,具体的に論述することを求めている。併せて,移行実施後のレビュー結果とその結果の活用についても論述することを求めている。論述を通じて,ITサービスマネージャとして有すべき問題分析能力,対策立案能力,計画立案能力などを評価する。

採点講評

 問1,問2ともに,出題の趣旨から外れた論述が散見された。問題文をよく読み,趣旨を正確に把握した上で,設問で求められている内容を踏まえて,論述に取り組むよう注意を促したい。また,両問とも“ITサービスの概要”について,十分な内容を記述していないものが相変わらず見受けられた。JISではサービスを“顧客に価値を提供する手段”としている。この観点から,自ら携わっている業務について整理しておいてほしい。
 問1(ITサービスの移行について)では,ITサービスの移行実施計画を策定する際に特に重要とした考慮点と対応策,移行実施後に行ったレビューの結果の活用などについて論述することを求めた。ITサービスマネジャとして移行の実施を経験している受験者にとっては取り組みやすかったものと考えられる。関係者との協議や確実な実施のための工夫を具体的に論述するなど,ITサービスの安全かつ円滑な開始に向けて精力的に取り組む姿のうかがえる良質な論述が多かった。しかし,開発部門が担当すべき移行作業に終始しITサービスマネージャの視点のない論述や,“移行実施計画”を“移行設計”と誤解した論述が見受けられた。これは,ITサービスマネージャの役割が正確に理解できていない,JISで規定しているITサービスの移行に関する知識が不足している,などによるものと推測される。設問ウの移行実施後のレビュー結果の活用については問題文中の例をやや詳しく述べたものがほとんどで,深い考察や広範な見識に基づいた活用についての論述が少なかった。ITサービスの移行はサービスマネージメントシステムの対象の一つであり,シラバス(情報処理技術者試験における知識・技能の細目)を確認した上で,JISやITILを理解して取り組むことを期待したい。