読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

技術士の技事録

新米技術士が、IT技術動向・高度資格試験対策等、現役SE向け情報を発信します。

ST H23秋 午後Ⅰ 問4

◀️ 前へ設問へ次へ ▶️

ディジタルカメラの新製品企画に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。

 D社は,ディジタルカメラの開発・製造・販売企業であり,主力製品はコンパクトディジタルカメラ(以下,ディジタルカメラという)である。

〔D社の現状〕
 ディジタルカメラは競合メーカが多く,他社が高機能・低価格の製品で売上を伸ばしている中,D社は人気のある製品を開発できていない。
 そこで,D社は,新たに事業方針として,ターゲットを明確にした魅力的な製品作りを掲げ,事業の改善を図ることにした。この事業方針に基づいて,ディジタルカメラの次期モデルの製品開発について検討した。

〔消費者の要望分析〕
 検討に当たって,D社では,ディジタルカメラの需要に関する市場調査結果を分析し,消費者を幾つかのグループに分類した。その中で,特徴的な傾向が見られた次のグループI〜Ⅲを,新製品のターゲット候補とした。

① グループI
 学生,社会人など,他のグループに比べて経済的に余裕のない,若年層の消費者グループである。
 基本的には,携帯電話に搭載されているカメラで満足しており,ディジタルカメラの需要が少ない。しかし,背景をぼかして撮影できる機能(以下,背景ぼかし撮影機能という),仲間と一緒の写真を自分で撮影できる広角機能などの要望が多い。

② グループⅡ
 社会人としての経験が比較的長く,経済的に余裕のある消費者グループである。
 ディジタルカメラの需要が最も多く,新しいモデルへの買換えも多い。子供の運会,演奏会などで撮影するのに有効な,10倍以上の高倍率の光学ズーム機能,連写撮影機能及び動画撮影機能の要望が多い。

③ グループⅢ
 定年退職者などを含む,比較的高い年齢層の消費者グループである。
 旅行,登山などをしたときの風景の撮影及び花などの近接撮影に適した,小型・軽量タイプのディジタルカメラの要望が多い。高価でも,要望に合った製品を買って,長く使い続ける人が多い。リング,レバーを回すフィルム式カメラの機械的な操作に愛着があるので,ディジタルカメラの操作,撮影した写真のデータ(以下,写真データという)の処理に対して,次のような要望をもっている。

  • 液晶画面のメニューは使いづらく,ボタン,メニューによる,ズームレンズセルフタイマの操作になじめないので,感覚的に操作できるようにしてほしい。
  • 液晶画面を見ながら,カメラを安定させて撮影することは難しいので,ファインダを見て撮影できるようにしてほしい。
  • 写真データを簡単にPCに取り込めるようにしてほしい。
  • PC上で写真を閲覧しやすいファイル(以下,アルバムファイルという)に簡単に編集できるようにしてほしい。

 潜在的な市場は大きいので,この要望にこたえることによって売上を伸ばせる可能性がある。

 各機能に対するグループI〜Ⅲの要望度を,表1にまとめた。

f:id:honmurapeo:20170506105210p:plain

〔新製品企画〕
 D社は,次期モデルのターゲットをグループIに決定し,フィルム式カメラのような機械的な操作性と高級感とを併せもった新製品を企画した。
 この新製品は,コスト増となっても高級機種に相当する基本機能を備えることにした。

〔開発技術の分析〕
 D社のITストラテジストであるE氏は,システムアーキテクトのF氏に対して,新製品企画で示された基本性能・機能を満たしたディジタルカメラを開発するための技術的課題と解決方法を検討するよう指示した。後日,F氏からは次のような報告があった。

  • 高倍率の光学ズーム機能は,倍率が10倍を超えると,本体のサイズが大きく重くなってしまう。
  • ファインダで見える範囲をズーム機能と連動させると,使い勝手が良くなる。そのためには,小型の液晶画面をファインダ内に実装する方式を開発する。
  • 動画撮影機能は,発売中のモデルで実現済であり,技術を再利用して開発する。
  • 写真データをPCに自動的に保存する機能としては,USBで接続して手動でファイルを保存する方式とは別に,無線LANを経由して定期的に写真データを送信する方式を開発する。
  • PCに自動保存された写真データからアルバムファイルを自動作成する機能は,PCで動作するソフトウェアとして開発する。

〔新製品の要求仕様及び製品戦略〕
 E氏は,新製品の要求仕様を次のようにまとめた。

  • 撮影した写真を確認するための液晶を搭載する。
  • 光学ズームの倍率は最大5倍とし,レンズ周りのリングを回す操作方式とする。
  • セルフタイマは,レバーで操作する方式とする。
  • 近接マクロ機能及び広角機能を搭載する。
  • ファインダをのぞいて撮影するタイプとする。
  • 光学ズームの操作によって決まる撮影範囲を,ファインダの表示範囲に連動させる。
  • 動画撮影機能は搭載するが,連写撮影機能及び背景ぼかし撮影機能は搭載しない。
  • 写真データ及び撮影した動画のデータを,PCに自動保存する機能を搭載する。

 また,E氏は,カメラの機能に対する要求仕様の他に,次に示す商品戦略をまとめた。

  • PC上でアルバムファイルを自動作成する,アルバム自動作成ソフトウェアを開発する。
  • アルバム自動作成ソフトウェアは,D社のディジタルカメラで撮影した写真データだけに使用できる,独自技術のものとする。
  • アルバム自動作成ソフトウェアは,利用期間を3か月とする試用版として製品に添付し,3か月以上利用する場合は有料とする。ただし,1年のメーカ保証期間を有料で3年とするメーカ保証期間延長サービスの契約をした利用者は,3か月を過ぎても無料で利用できることとする。

 

設問

設問1

 新製品企画と要求仕様について,(1)〜(4)に答えよ。

(1)次期モデルのターゲットをグループIに決定した理由を二つ挙げ,それぞれ35字以内で述べよ。

(2)新製品のコンセプトを,35字以内で述べよ。

(3)連写撮影機能及び背景ぼかし撮影機能を搭載しない共通の理由を,25字以内で述べよ。

(4)要望度が“中”にもかかわらず,高倍率の光学ズーム機能を搭載しない理由を,25字以内で述べよ。

 

 

解答例

(1)・最も売上の拡大が見込めるグループと考えられるから
・高価でも要望に合う製品を買い求める人が多いグループだから

(2)フィルム式カメラの操作性と高級感を併せもつディジタルカメラ

(3)グループⅢの要望度が少ない機能だから

(4)本体のサイズが大きく重くなってしまうから

解説

(1)

(2)

(3)

(4)

 

設問2

 有料のメーカ保証期間延長サービスの契約をした利用者に,アルバム自動作成ソフトウェアを無料で配布することにした目的を,売上拡大を除いて25字以内で述べよ。

 

解答例

 次回購入時にも,D社製品を買ってもらうため

解説

 

設問3

 新製品のコンセプトを生かしながら,グループI又はグループⅡへの展開を前提とした派生製品を開発する場合,どちらのグループをターゲットとすべきか。また,その理由を40字以内で述べよ。

 

解答例

 グループ:グループⅡ
 理由:機能的要望は高く,経済的余裕があり,派生製品の購入を見込める層だから

解説

 

IPA公開情報

出題趣旨

 出題趣旨ITストラテジストには,市場動向や利用者の要求を分析し,競争力のある製品を企画したり,提案したりする能力が求められる。
 本問では,コンパクトディジタルカメラを題材に,製品の市場動向や利用者の要求を分析し,新たな製品を企画したり,提案したりする能力を評価する。具体的には,製品企画と要求仕様の検討,製品戦略の策定,派生製品の開発について問う。

採点講評

 XXX