読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

技術士の技事録

新米技術士が、IT技術動向・高度資格試験対策等、現役SE向け情報を発信します。

ST H24秋 午後Ⅰ 問3

◀️ 前へ設問へ次へ ▶️

物流業務の改善に関する次の記述を読んで,設間1〜4に答えよ。

 D社は,日用品の卸売業者であり,ホームセンタ,スーパマーケットなどを主な顧客としている。D社では,地域ごとに複数の物流センタを設置し,自社で運用している。最近では,顧客からの注文が減少している上に,スーパマーケットの統合などによって顧客も減少している。
 D社では,販売管理システムと在庫管理システムを自社で開発し,本社で販売管理システムを使用し,それぞれの物流センタで在庫管理システムを使用している。

(1)販売管理システムは,顧客からの注文の情報を受注情報として管理する。受注情報には,納入先,納入希望日時,品目,数量があり,営業部員が販売管理システムに登録する。注文回数を制限していないので,少量,多頻度の配送となってしまっている顧客も多い。

(2)販売管理システムは,登録された受注情報をそれぞれの物流センタに仕分けし本社から1日に1回まとめて送信する。

(3)在庫管理システムは,品目と数量を管理する。在庫管理システムには,顧客への出荷情報が実績として記録されている。在庫管理システムに記録せずに,営業部員が販売活動用のサンプルとして在庫から商品を持ち出し,顧客に渡すこともある。

(4)物流センタから顧客への配送業務及び物流センタ間の移送業務は,専門の運送業者に委託している。顧客への配送費用,物流センタ間の移送費用の実績金額をまとめた運送費用は,毎月1回運送業者に支払っている。顧客への配送費用を調査したところ,少量,多頻度の配送が多い顧客の中には,配送を見直すことで費用を削減できそうな先があることが分かった。

 

〔物流業務の現状〕

(1)在庫管理業務

  • D社が扱っている商品は,定番商品と特売用商品の2種類がある。定番商品も特売用商品も物流センタに在庫として保管している。特売用商品は一時期に大量の注文が集中するので,物流センタ内に大きな在庫スペースが必要である。
  • メーカに対して在庫補充のために発注する場合,出荷実績の傾向は考慮せず,受注情報と在庫情報に基づいて発注数量を決めている。
  • 商品の在庫水準は,発注リードタイムと1日当たりの出荷数量の基準値によって決めている。定番商品も特売用商品も商品ごとに基準値を設定している。季節変動などの特性は考慮できていないので,一部の商品では欠品になったり,過剰在庫になったりしている。
  • メーカが生産を中止した商品と,一定期間に出荷実績がなかった商品は,在庫管理システムの対象から除外しているが,それ以外の見直しは行っていない。

(2)入出庫業務

  • メーカから商品を積んだトラックが物流センタに到着した後,入荷作業,検品作業,入庫作業を行う。トラックの到着スケジュールが変更になったり,複数台が同時に到着したりしても,作業スケジュールを一部見直すことで対応できている。
  • 受注情報に従って出荷指示書を作成し,在庫を引き当て,商品を出荷している。しかし,在庫管理システム上の在庫数量と実在庫数量が異なり,欠品していることがある。その場合,在庫がある同一地域内の物流センタから自センタへの移送を運送業者に依頼する。

(3)配送業務

  • 顧客に納品できる準備が整うと,作成した出荷伝票を物流センタから運送業者に送り,配送業務を依頼する。

〔物流業務の見直し〕
 D社では,競争力強化及び物流費用削減のために,物流センタの配置と在庫管理を見直すことにした。

(1)物流センタの配置の見直しでは,適正な在庫管理を行うために,それぞれの地域で複数箇所に設置されている物流センタを,地域ごとに1か所に統合する。

(2)在庫管理の見直しでは,従来は全ての商品の在庫管理を物流センタで行っていたが,特売用商品については在庫をもたないようにする。また,定番商品の過剰在庫を減らすために,出荷実績の傾向なども参考にする。

(3)営業部員に対するヒアリングによって,販売活動用に持ち出すサンプル商品は入荷時点で必要数量を見込めることが分かったので,在庫差異による欠品の発生をなくす。

 

〔特売用商品に対応する物流業務〕
 特売用商品は,必要時にメーカから出荷してもらい,物流センタに到着後,顧客ごとに仕分ける配送準備作業を行って,直ちに配送する。

(1)D社からメーカへの特売用商品の発注情報には,品目,数量,物流センタへの到着希望日時がある。到着希望日時は,顧客納品を行う配送トラックの出発時刻を基準に決める。同じ到着希望日時が,複数のメーカに対して指定されることもある。

(2)メーカは,出荷数量が多いので,受注時に指定された到着希望日時を考慮して,数日前に出荷の予定を確定させる。特売用商品を積んだトラックが出発するときにメーカから物流センタに,出荷した品目と数量の連絡がある。

(3)各メーカの特売用商品を積んだトラックが複数台同時に到着した場合,物流センタには,配送準備作業を同時に行えるだけの人数の作業要員はいない。配送準備作業は,顧客納品のために計画した配送トラックの出発時刻には間に合わせなければならない。

(4)メーカからの納入品が到着希望日時に全数そろわないと,計画外の配送トラックを追加手配しなければならない。できるだけ早い段階で数量の相違を検出して,関係者と調整し,追加手配を削減したい。

 顧客への配送は,物流センタで在庫管理を行っている定番商品を顧客ごとに取り出し,顧客ごとに仕分けられた特売用商品と併せて,従来と同様に同じ便で配送する。定番商品と特売用商品の新たな仕組みによる顧客への配送費用は,現在より減らしたい。

 

設問

設問1

 物流センタを統合することによる適正な在庫管理について,在庫削減以外に期待される効果を,30字以内で述べよ。

 

解答例

 商品欠品時の物流センタ間の移送費用を削減できる。

解説

 

設問2

 特売用商品に対応する物流業務について,(1),(2)に答えよ。

(1)計画外の配送トラックの追加手配を削減するために,どのような情報を,どの時点でメーカから入手すべきか。それぞれ20字以内で述べよ。

(2)計画した配送トラックを予定どおり出発させるためには,どのような業務を追加する必要があるか。45字以内で述べよ。

 

解答例

(1)情報商品,数量と到着予定日時時点出荷の予定が確定した時

(2)作業要員の割当てを考慮してメーカからのトラックの到着時刻を決定する業務

解説

(1)

(2)

 

設問3

 物流業務の見直しについて,(1),(2)に答えよ。

(1)在庫差異による欠品をなくすための業務の見直しについて,40字以内で述べよ。

(2)定番商品の欠品,過剰在庫削減のための改善について,35字以内で述べよ。

 

解答例

(1)サンプル商品は,入荷時に必要な数量を確保し,一般在庫と別管理する。

(2)出荷実績の傾向と季節変動などを考慮してメーカに発注する。

解説

(1)

(2)

設問4

 顧客への配送を見直すことで費用を削減できる可能性がある。どのような検討が必要か。40字以内で述べよ。

 

解答例

 注文回数が多い顧客について,まとめて配送が可能かどうか検討する。

解説

 

IPA公開情報

出題趣旨

 出題趣旨ITストラテジストには,業務を分析して課題や改善すべき項目を抽出し,対策案を検討する能力が求められる。
 本問では,物流業務の改善における新たな物流の仕組みの導入を題材にして,システムの活用による問題の解決,業務の見直しと情報の活用に関して検討する能力を評価する。具体的には,物流センタの統合による効果のまとめ,新たな物流の仕組みを効率よく運用できる仕組みや業務の検討,在庫管理の改善,配送コスト削減の検討について問う。

採点講評

 問3では,日用品の卸売業者における物流業務の改善について出題した。題意や状況設定は,おおむね理解されているようであった。
 設問2(2)は,メーカからのトラックの物流センタへの到着スケジュールと作業要員の関係から追加すべき業務について解答を求めていた。しかし,解答の多くは,到着スケジュール又は作業要員の一方だけを条件としていた。
 設問3(1)は,サンプル商品による在庫差異の改善について解答を求めていた。おおむね理解されていたが,サンプル商品の必要数量の上乗せ,棚卸の実施などの解答もあり,在庫差異が起きている要因を理解できていない解答もあった。
 設問4は,注文回数の多い顧客への配送を改善することによる配送費用の見直しについて解答を求めた。おおむね理解されていたが,特売用商品と定番商品を混載,それぞれ別々に配送など,配送費用の見直しが可能な関係を理解できていない解答もあった。
 ITストラテジストは,対象となる業務を分析し,改善すべき業務,新たに行うべき業務に対して情報をどのように活用すれば実現できるのかを検討し,とりまとめる能力を高めてほしい。