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技術士の技事録

新米技術士が、IT技術動向・高度資格試験対策等、現役SE向け情報を発信します。

ST H27秋 午後Ⅱ 問1

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ITを活用したグローバルな事業について

 近年,国内の少子高齢化と市場の成熟などによって,日本企業は国内の顧客だけでなく,海外の顧客も視野に入れ,グローバルに事業を拡大する必要に迫られている。
 また,既に海外で事業を展開している日本企業も,為替変動,新興国の市場拡大などに伴って,グローバルで見た最適なビジネスプロセスを模索し,事業戦略を策定した上で,改革を行っている。グローバルな事業戦略には,例えば次のようなものがある。

  • 金融機関の法人事業では,国内向けの金融サービス事業から,海外も含めた金融サービス事業へ,顧客を拡大する。
  • アパレル企業では,これまで新興国で生産してグローバルに輸出していたSCMに,地産地消などの考え方を参考にして,生産国でも販売する。

 ITストラテジストは,ITを活用したグローバルな事業を実現する際に,事業戦略を踏まえ,改革すべき業務機能を見極め,その業務機能を実行する業務組織を定義した上で,業務フローなどを描き,新しい業務の全体像を定義する。また,それを支えるITの要件と主要な機能を整理した新システムの全体イメージを作成する。その際には,次のような観点で検討することが重要である。

  • グローバルで一元的に行う業務と,各国で個別に行う業務の切り分け
  • 多通貨,多言語,日本と異なる法規制・商習慣,時差など

 さらに,新しい業務の全体像と新システムの全体イメージを経営者に説明して,承認を得る必要がある。
 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問ア

 あなたが携わった,ITを活用したグローバルな事業の概要と特性,事業戦略について,800字以内で具体的に述べよ。

設問イ

 設問アで述べた事業戦略を踏まえ,改革すべき業務機能,定義した業務組織と新しい業務の全体像,及び新システムの全体イメージについて,特に重要と考えて検討した内容とともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ

 設問イで述べた新しい業務の全体像と新システムの全体イメージを,経営者にどのように説明し,経営者にどのように評価されたか。更に改善の余地があると考えている事項を含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

 

IPA公開情報

出題趣旨

 出題趣旨近年,国内の少子高齢化,市場の成熟などによって,日本企業は,国内の顧客だけでなく,海外の顧客も視野に入れ,グローバルに事業を拡大する必要に迫られている。
 本問は,ITストラテジストが,ITを活用したグローバルな事業を実現するに当たって,改革すべき業務機能と,定義した業務組織及び新しい業務の全体像,それを支える新システムの全体イメージについて,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITストラテジストに必要な構想力,企画力,説明する力などを評価する。

採点講評

 全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが多く見られた。これらは論述の一部であり,適切な記述を心掛けてほしい。また,解答字数の不足した答案が例年より多く見られた。
 ITストラテジストの経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。問題文及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,是非,留意してもらいたい。
 問1(ITを活用したグローバルな事業について)では,グローバルな事業戦略を理解した上で,業務改革案を企画し,適切な情報技術の活用案を練り上げて,経営層に進言した経験のある受験者には,論述しやすかったと思われる。一方で,グローバルな事業戦略,事業戦略にひもづいた業務改革について十分な記載がなく,システム開発,システムへの機能追加,システム統合などの記載に終始していた論述が散見された。